2023年 振返り

2023/12/31

間もなく、2023年が終わろうとしております。

2023年振返ると、コロナ感染が収束し5月に5類へ移行されたことに伴い、 国内レジャー・集客エンタテインメント市場においては、ライブ・イベント開催の動きが活発化した他、円安の追い風もあり、インバウンド需要の回復が大きく進み、旅行のみならずハイブランドなどの物販や日本ならではの外食産業が大きく回復した年となりました。一方で、各種物価の高騰継続、円安進行、海外景気の下振れ影響は、輸入に頼る企業や一般庶民の消費低迷に大きく影響いたしました。また、オフィスにおいては出社とテレワークのハイブリッド勤務が恒常化され、結果的にはオフィス床面積の過剰が否めない実態が浮き彫りになったと言えます。引き続き、建設業界においては、人手不足と原材料価格の高騰、また納期遅延が相まって、話題性のある再開発においてもオープンの遅延が目立った年となっております。

不動産市況  はというと、住宅がバブル期を超え最高値を記録しましたが、価格高騰により都心部で購入できる層が限定され、地方圏に住居を構える層は増えた印象です。新築の他、中古市場も高騰が進み、下半期においては、一部において価格下落に転じております。物流は引き続き供給過多が進む中ですが、来年の労働規制が始まることを踏まえ、り、物流効率は待ったなしの状況です。一方で、商業施設においては前述のインバウンド消費などが追い風によりハイストリートを始め、物販、飲食での売上が軒並み回帰し中には過去最高益となった企業もあるようです。
 また、ホテルアセットについては、旅客数が回復したこと、国内外の宿泊者が2019年よりもやや長く滞在する傾向であること、円安を背景に海外旅行が避けられたことにより、国内需要は大幅に回復しました。一方で、コロナ禍で流出した人材がホテル業界に戻らず、新たな人材育成には時間を要しており、人材不足から2019年と同等の稼働率に戻すことが難しい施設も多いようです。

ホテル 需要ということで、観光庁データでは、
 2023年11月の訪日外客数は約1,160万人(10月は1,226万人)   
 前年同月比+1,247%(前年同月93万人)
   2019年11月比+28%(2019年11月約906万人)
 

国別では、韓国 約127万人(全体割合13%)と最も多く、次いで 台湾 約132万人(13%)、中国 約113万人(11%)だそうです。ロックダウンが長引いた中国の団体解禁があり徐々に中国の消費回帰しております。

オフィス はというと、引き続きテレワーク恒常化と企業のコスト削減は進んでいく中で、コロナ禍の2021年7月~9月時点で平均51.9%だった出社率は、直近の2023年7月~8月時点で70.6%まで回復。
2年~3年後(2025年~2026年)の想定出社率も、現在とほぼ同じ71.0%と予想されております(巡航状態)。

 一方、座席充足率(当該ビルを主たる勤務地とする従業員数に対して用意する座席数の割合)は、2023年7月~8月時点で平均99%。各社はほぼ全従業員分の座席を用意しており、2年~3年後の想定でも平均91%の座席を用意すると予想され、座席数の削減余地は限定的とみられております。


 ただし、固定席を採用する企業は半分程度で、仕事内容に応じて最適な場所を選べる方式など、特定の席に固定されないスタイルを採用(一部採用を含む)する企業が7割近くに達する見込みだそうで、固定席を減らしても、個室・会議室や多目的スペース、リフレッシュルームなどに転換する意向の企業が多くなってきました(オフィスを協働・共創の場として機能強化することが肝要)。

 上記を踏まえ今後のオフィス使用面積も3割程度が増床意向ありで、縮小は限定的であることを示唆しております。また、オフィス面積が2000坪以上の企業では減床意向が4割程度との数値がありますが、こうした企業はシェアオフィスやコワーキングオフィスの利用を増やす意向がみられます。


商 業 はというと、ポストコロナへの移行が本格化するなか、東京都心の主要店舗エリアにおいて賃料回復が鮮明となり、原宿・表参道・青山の最上位(ティア1)エリアにおいて、2023年第3四半期の坪あたり月額賃料は上限値で37万円を記録。コロナ前の2019年第4四半期と比べて20%以上、上昇。渋谷も同22万円と、コロナ前を2万円上回りました。

 銀座の賃料の最高値は2023年第3四半期時点でコロナ前と同じ40万円とのことですが、改装や再開発の後、賃料が上昇する可能性は高いとみれております。プライムエリアの高額物件から出店が決定しているもようで、高額物件の減少に伴い、足元1階の平均募集賃料は坪7万円を割り込んだとの数値も確認できました。
 1階以外の平均募集賃料単価は横ばいのため、1階の動向が全体の賃料単価にも若干の影響をもたらしており、銀座の賃料水準が低下しているのではなく、高額物件ほど需要が高いという銀座エリア固有の傾向が表れているようです。

 プライムエリアでの開発物件では、旺盛な出店需要があり、ラグジュアリーブランドを中心に複数社からの出店申し込みがあるほか、富裕層による蓄財などを目的とした宝飾品の購入やインバウンド狙いの国内ブランドなどの出店需要も堅調で、飲食店の新規出店も徐々にみられ、旺盛な出店需要を背景に当面は安定推移が期待できるようです。
 例えば、
  ・宝飾ブランドのBOUCHERON は2023年9月、銀座の中央通りに国内最大規模の旗艦店を出店。 
  ・Tiffany も同月、リニューアルオープンしたアニヴェルセル表参道に新店舗を開業。
  ・原宿の明治通り沿いでは、靴ブランドのUGG が7月にアジア初の旗艦店を出店。 など

一方で、テナントの売上高は増えているものの、インフレなどの影響で人件費、原材料費、光熱費が高騰しているため、テナントの収益が圧迫され、貸し主の賃料増額要求を受け入れられないケースが増える傾向からも、主要エリア以外では今後2年間、緩やかな賃料下落が続く可能性が懸念されます。
中でも平均賃料は、銀座に次いで、渋谷が上昇し表参道を抜く感じとなりました。

※主要都市 商業賃料水準(坪単価)
     1位 銀座    70,000円
     2位 渋谷    60,000円(前年44,800円)
     3位 表参道 58,000円(前年53,000円)
     4位 新宿    51,000円
     5位 池袋    38,600円
     次いで心斎橋・横浜が 35,300円、仙台 28,000円、京都24,300円 といった感じでしょうか。

2023年の大型取引(売買)を見ますと(⇒取得先)、
     そごう・西武が持つ西武池袋本店の土地など   約3,000億  ⇒ヨドバシHD
     新宿区西新宿2丁目にある小田急第一生命ビル  約1,300億 ⇒第一生命保険などが出資する国内法人
     東急プラザ銀座(土地30%・建物55%)  約1,300億 ⇒三井住友トラスト・パナソニックファイナンス
     大和ハウスグループ所有27のホテル   約1,200億 ⇒シンガポールSPC(GS/アブダビ共同出資)

いずれも上位を占めるディールは昨年の海外勢に代わり国内法人が取得。海外の景気低迷がスタートしている傾向が感じられます。

さて、栄東不動産 はというと、引き続き、微力ながらですが、コアな投資家様のニーズを頂き、無事多数のdealをクロージングできましたこと、また、来年も既に数件のdealが決定していること、これもひとえに、関係者の皆様のおかげであり、改めて深く感謝を申し上げる次第です。

不動産流通を以って、街の活性化と新たな価値創造を!
次世代へ「豊かさ」と「潤い」と「輝き」を!
企業に沈まない1人1人の活躍を!
共存と共栄で人口安定化を目指し、さらなる日本の賑わいと国民一人一人のハピネスに向け、不動産流通に努めて参ります!

それでは、お身体を大切に、健康第一で、
皆様のさらなるご活躍とご多幸を心よりお祈り申し上げますとともに、
新年、どうぞ、良いお年をお迎えください。

~資産爆増 大家の道標~  栄東不動産

 

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